3DCADでモデリング、設計する際の注意点

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CAD

3DCADは便利ですが、ちょっと使い方を間違えると大変な目にあうこともあるので、最低限守るべきことを備忘録としてまとめました。

本記事は3DCADを使って、企業で仕事をされる方、複数人で作業をされている方向けの記事となっております。


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3DCADは便利だけど……

3DCADも価格が下がり、中小企業にも、だいぶ浸透しておりますが、ついうっかりで、取り返しのつかない、長時間の手戻りを引き起こす原因にもなります。

私が3DCAD業務で見てきたこと、自分自身が当事者になって辛い思いをしたことを元に、その回避方法を自戒を込めて書いてみました。

3DCAD モデルの良い作り方」についても書いてあるので、こちらも併せて参照していただけると幸いです。

モデリングを進める前に、とにかく新しい名前をつけて保存する

モデルの新規作成(既存モデルを流用も含む)、改訂作業、いずれにしても、作業に入る前に新しい名前をつけて保存した方が良いでしょう。(これは2DCAD作業でもやるべきです)

もちろん、図面もアセンブリも同じです。

3DCADのよくある事故として、PCのスペックや常駐ソフトの相性等、原因は様々ですが『ソフトが落ちる』が挙げられます。

3DCADでそこそこ仕事をしている方は、『〇時間の作業時間が吹っ飛んだ』という経験をした方は多いと思います。

新規保存しておけば、CADの中には定期的にバックアップを取ってくれるものもあるので、万が一の場合、ある程度手戻りを抑えられる場合もあります。

CADを使った作業以外でもいえることですが、Windowsのアプリであれば、『Ctrl+S』で上書き保存できるソフトがほとんどだと思います。

定期的に上書き保存する癖をつけておくのも大切です。

また、モデルの改訂・流用であれば、ついうっかり改訂記号(番号)をつけずに保存したり、変更前のファイル名のまま保存してしまうのを避けるためです。

また、部品モデル改訂などの際、アセンブリなど親モデルがある場合の、モデル名変更の手順を下図に示しておきます。

逆を言えば、ふとアセンブリを見ていて、その中にある一つのパーツのみを流用したくなった場合、アセンブリからパーツを開いた後にアセンブリをすぐに閉じてから、パーツのみ開いた状態でモデル名を変更する必要があります。

この点は要注意です。

変更前のモデルは残しておく

人が作ったモデルの場合、どういう作りをしている分からず、場合によっては作業中にモデル自体を壊してしまうこともあるかもしれません。

そのため、元のモデルを保険として残しておくのが良いでしょう。

スケッチの拘束は必ず完全拘束する

完全拘束とは、寸法や幾何拘束により、スケッチの線分や円などの要素をドラッグしても動かない状態を指します。

Fusion360やSolidWorks等は線や円等が青色の場合はスケッチが未拘束状態で、ドラッグすると要素が動いたり、長さや径が変わってしまいます。(下図はFusion360の場合)

きちんと寸法や幾何拘束を使って、完全に拘束するとスケッチの線や円等の要素が黒色となります。

3Dモデリングにおいて、スケッチを完全拘束するのは作業の基本と言えます。

設計作業は、全ての寸法を決めないと完了しませんからね。

意外と、別の要素の同一線上等のスナップが効いて、綺麗な位置に配置できることもあり、慣れていないうちは、寸法を入れるのを忘れて、そのまま押し出しやカットに進んでしまうこともあります。

例として、下図の通り、Φ50の穴が左下の基準から縦150、横100の位置に寸法を入れなくても偶然配置できたとします。しかし穴の位置が未拘束の場合、穴のスケッチを触ったら穴位置が簡単にズレてしまいます。

もし、すでに図面を描いていていれば、この状態でモデルを保存し、図面と同期させると穴位置は意図しない位置にズレてしまいます。

繰り返しになりますが、寸法を変更することで形状や位置の変更ができる、それ以外で変更できない3Dモデルを作るのがモデリングの基本です。

モデルや図面ファイルの保存場所は勝手に動かさない

2DCADと違い、3DCADはモデルや図面の保存場所はとても重要です。

たとえば、あるアセンブリがパーツ1、パーツ2、パーツ3という部品モデルで構成されているとします。

パーツ1を別のフォルダに移した後にアセンブリを開くと『パーツ1が見つかりません』と出てアセンブリからパーツ1が抜けた状態になってしまいます。

これは図面も同じで、モデルを別のフォルダに動かすと図面からモデルが無い状態になってしまいます。

データ整理の際に「ちょっとこのモデル、こっちのフォルダに移そうかな」と思っても、ちゃんと現状復帰できるスキルが無い限りやらない方が無難です。

特にサーバーにモデルを保存している場合、自分の手を離れたデータは上司や先輩、同僚に相談した上で行った方が良いでしょう。

3DCADの中にはアセンブリやモデル、図面の管理が出来るソフトもあるので、それらを利用した方が事故は少ないでしょう。

ファイル名は勝手に変えない

ファイルの場所を動かさないとセットでの話になりますが、ファイル名の変更も注意が必要です。

前項と同じ例となりますが、アセンブリがパーツ1、パーツ2、パーツ3という部品モデルで構成されているとします。

他のアプリのファイルと同じ要領で『パーツ1』を『パーツA』という名前に変更すると、アセンブリを開いた時にパーツ1がパーツAに変わったことが認識できていないため、パーツA(パーツ1)を読み込めずに、そこだけ抜けた状態になってしまいます。

使用している3DCADにファイル管理ソフトがあるなら、それを使って名前を変えるか、『モデリングを進める前に、とにかく新しい名前をつけて保存する』の項目の方法で変更した方が良いでしょう。

もちろん、他の人が触る可能性のあるモデルデータの場合は、連絡相談を忘れずにしましょう。

他のモデルと参照関係を作らない

どちらかというと、3DCADで設計をしているときに陥るのですが、他の人が編集する可能性がある場合、部品と部品、もしくは部品とアセンブリ(基準や補助的に作った要素)とはお互いに参照関係を作らないようにするべきです。

例えば、下図の通り、アセンブリの中に『ベース』『ブラケット』という部品があったとします。

ベースのネジ穴位置を変更したら、追従してブラケットのバカ穴位置も変更される状態を指します。

一見、とても便利な機能だと思えます。

穴位置変更は一つの部品だけ行えば、相手部品も変更されるから、作業の手間も半分になるし、変更のし忘れ防止にもなるのですから。

しかし、それは一人だけで作業しているなら通じる話であって、自分以外の設計者が図面やモデルの編集を行う場合、混乱の元になります。

変更した覚えが無いのに変わっているというのは、気持ちが悪いものですし、改訂作業であればどこが変わったのか洗い出しをする必要が出てきます。

モデルを作った人に聞けば分かるかもしれませんが、大抵はどういう作りにしたか忘れていることの方が多くて、結局要らない作業が増えてしまいます。

一人で設計して管理が出来るなら問題はありませんが、会社等、多人数で設計作業を行っている場合は意思統一がなされない限り、やらない方が良いでしょう。

例として、部品モデル同士を例に、Fusion360で参照関係が作られた状態がどういうものか、下図に示しておきます。

Fusion360の場合、意図しない限りはこの参照関係を作るのは難しいのですが、3DCADによっては容易に出来てしまうものもあるので注意が必要です。

状況によっては、モデルのみを呼び出して編集した方が安全かもしれません。

説明書等で、参照関係が出来たときにどうなるかは把握しておいた方が良いでしょう。

また、Fusion360ですが、回避方法を下図に示しておきます。

Fusion360の場合、アセンブリ上でモデルを編集(インプレイス編集)するときには、部品名称横の記号をクリックし表示されたプルダウンリストから『関連付けのない』を選択してから編集をすると、他部品の要素と参照関係を作ることが出来なくなります。

ただ、インプレイス編集に入る度に『関連付けのない』を選ぶ必要がありますので、そこは注意しましょう。

まとめ

今回は3DCAD作業において、最低限、守った方が良いと思われる注意点を書いてみました。

特に編集していたら、意図しない箇所の寸法が変わっているとか、あるモデルの寸法を変更したら、取り付けられている部品も一緒に変わったは危険です。

多くの会社では部品図面に図番をつけて出図し、その図面に変更の必要が生じた場合、改訂や図番変更の処理をしますが、取り付けられているがいつの間にか変わってしまってしまった場合、設計者、検図者がそれ気が付かなければ、その部品は形状が変わっていたとしても置き去りにされることになります。

実際に作ってみたら、『穴位置が合わない』、『長さが合わない』などが起こります。

図面をPDMに保存して管理している場合、管理している部門にお願い(土下座)をする必要も出てきて、その対応は大変を超えて地獄です。

3DCADで痛い目に遭うと、2DCADで仕事をしていたときは良かったなと思いがちですが、理解が進めば3DCADほど有用なツールは無いと思います。

この記事で書いたことが、3DCADを使う上でのトラブル回避に少しでもお役に立てれば幸いです。

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